暖簾では使用する場所や出したい色などの目的から、染料と顔料が使い分けられています。
顔料は習字で使用する墨や日本画で使用する絵の具に近く、水と混合した際に色素が沈殿することで色を作り出しています。
一方、染料は水と混合することで完全に溶解します。それぞれの特徴があることから独特の風合いと発色があり、
用途や出したい色に応じて使い分けられています。
一方、暖簾に使用するとして染料と顔料の違いを考えてみると、染料は水に溶けると化学変化を起こして
イオン化し、生地に結合することでしっかりと染められて簡単には色落ちしなくなります。
顔料はそのままでは生地に定着しないことから、生地に固定するための固着剤などを混合して使用します。
染料と比較して摩擦には弱いものの、色素が安定していることから日焼けがしにくいのも特徴です。
布の生地に印刷を行う暖簾に使用する場合には染料の方が発色が良いですが、
屋外などで使用することを想定すれば顔料の方が高い強度を誇ります。
最近では染料に特殊素材を混合し、強度を補うインクも登場しています。
暖簾に使用する場合には染料と顔料の違いだけではなく、設置場所や用途を考慮して選ぶ必要があります。
天然素材で世界にひとつだけの色
のれんの草木染めはその名が示すように草や木を使用した染め方で、独特の風合いの美しさに加えて、
原則として天然素材のみを使用することから安心安全なのも評判です。
天然素材を原材料にした商品を取り扱っているお店や、オーガニックな食材のみを使用した
飲食店などののれんに使用すれば、天然のシナジー効果により大きな訴求力を持たせることができます。
草木染めでは採取した植物を煮立てて抽出した液体を染料として使用します。
その液体には植物の種類によっては種や枝、茎、葉などの不純物が混ざることもあり、
特定の色を連続して作るのはベテランの職人でも極めて困難です。
従って大半のケースでは世界にひとつだけしかない色となり、高い希少価値を持つものとなります。
ここで不純物を科学的に取り除く方法も無い訳ではありませんが、それを行ってしまった瞬間に
天然素材では無くなってしまいます。このような草木染めが持つランダム性や自然の摂理により、
実際に抽出できるまでに色が確定できないのも天然素材100%の魅力です。
伝統的な染め方とのれんとが組み合わされることでお店や商品名などを
道行く人々にアピールすることができ、集客率をアップさせられること間違いありません。